周術期医療の目標は、できるだけ早く元の生活に戻すこと。
手術は多くの人にとって、一生に一度あるかどうかという大きな転換期だと思う。
手術や麻酔という未知のものに対して、不安を持っている患者さんもたくさんいるよね。
- 少しでも不安を軽減できるように
- 意識がない手術中の代弁者となれるように
患者さんに寄り添って関わることが、私たち手術室看護師の役割だと思うのです。
ちょっと綺麗事過ぎるかな。
- これから手術室で働く人
- 手術室に興味がある人
- 手術を受ける方(身内にいる方)
そんな方々に向けて、マスト事項である周術期医療について書いていきます。
周術期って何?
医療業界は専門用語が多いです。
周術期と聞いてピンとこない人も多いと思う。
周術期(周手術期)
手術を行うにあたり、その手術に関わる入院から麻酔、手術、回復までを含めた術前・術中・術後の一連の期間総称
出典:ヤクルト研究所
一般的には、手術の前後で医療者が関与できる部分を指します。
手術が決定してから手術を終えて退院するまでを周術期と呼ぶことが多いです。
そして、手術が決まった段階から、麻酔科医をはじめ多職種が関わりリスク管理をしていきます。(周術期管理)
周術期医療の目的は?
周術期管理の目的は主に2つあります。
- 術中の安全
- 術後の早期回復
それぞれの目標は以下の通りです。
- 患者さんの病態を少ない侵襲で外科的に治療する
- 患者さんをできるだけ早く元の生活に戻す
手術中の患者さんは麻酔によって、呼吸と循環が不安定な状態になります。
加えて、身体にメスを入れるという非常に侵襲的な行為を受けます。
侵襲
医学的に、生体の内部環境の恒常性を乱す可能性のある刺激のこと。
そのような状況で問題が起きないよう徹底したリスク管理が求められます。
もう一つの『術後の早期回復』ですが、患者さんができるだけ早く元の生活に戻るためには、無理なく動けて、食事ができるようになる必要があります。
そのためには、術後の痛みを取り除くことが重要です。
痛みを手術直後から積極的に治療することで、患者さんの活動が高まり、回復が早くなることが期待できます。
術後疼痛は、周術期医療の目標を達成する手段として最重視されるのです。
術後疼痛とは?
術後痛の管理目標3つ
- 安静時の痛みは「ない」もしくは「弱い」状態を維持
- 体動時(動いた時)の痛みは「弱い」から「中等度」に維持
- 痛みをとるために用いる薬剤の副作用を最小限に抑えること
痛みの評価は主に、ビジュアルアナログスケール(VAS)というものを使います。
カルテに、VAS:3とかVAS:5とか記載されているのはソレです。
頭文字をとって、『バス』です。
痛みの程度を0点から10点までの数値で評価します。
内服薬による副作用は、嘔気・嘔吐、血圧低下、呼吸抑制など。
痛みがおさまっても体調が万全でなければ辛いですよね。
最後に
病棟で、術後の患者さんが元気そうにしている姿をみると嬉しい気持ちになります。
私が整形外科で働く理由は、回復を間近でみれるから。
今は手術室勤務で直接関わることは少ないのですが、それでも病棟で見かけた時は嬉しい気持ちになるのです。
患者さん自身も早く家に帰りたいと思っているよね。
そのためにも、チームとして私たち医療従事者は患者さんをサポートしていく必要があります。
色々と勉強することも多いけど、がんばっていこうね!