佐治晴夫『14歳のための時間論』あなたの「これから」が「これまで」を決める。
先日ふと書店に寄ったら、春秋社100周年記念ブックフェアなるものをやっていました。
教育学、心理学、芸術など色んなジャンルの本が棚に並べられていて、どれも面白そうなものばかり。
その中でも、
「14歳のための」「時間論」
この2つのワードに惹かれて今回この本を購入しました。
その名も「14歳のための時間論」
時間論というと、ニュートンの相対性理論が浮かびますが、イマイチわからない。
確か好きな人といる時と嫌いな人といる時の時間の”感じ方”が違うという話!?
その時の状況によって時間の感じ方がかわるという理論だったような、、、。
そんな曖昧な認識だったので、この機会に学ぼうと思い手にとったのです。
▲オススメ読者▲
▼目次▼
『14歳のための時間論』ってどんな本なの?
ひと言でいうならば、時間の正体について探る本。
- 色も形も匂いもない時間って一体何なのよ。
- なんで時間は戻らないの?
- 状況によって時間の感じ方が変わるのはなんでだろう。
そんな誰もが一度は抱いたことがあるであろう疑問について、説いていく一冊になっています。
7章で構成されていて、はじめは”時間とは何か”
そんな素朴な問題提起から。相対性理論の話は第6章です。
文字も大きいし、難しいことを噛み砕いて解説してくれているので読みやすい。
ただ、イラストがほとんど無いので想像しながら読み進めていく必要があります。
過去は”いま”の積み重ねではない!?
過去から未来へと流れる時間を表す時、皆さんはどのように表現しますか?
一本の直線を引いて、「過去→未来」ってしますよね。
私も同じです。
そして、現在(瞬間)は点であらわします。
過去と未来があって、今私たちがいるのはこの地点なんだよって。
これは当たり前の話なのかもしれませんが、、、、。
しかし数学では、「点」=「大きさや広がりをもたないもの」
というように定義するそうです。
であるならば、直線は点の集まりではない。
つまり、過去と未来は現在(瞬間)の集まりではないということになります。
こう考えると、ますます時間とは何か疑問に思ってしまいますよね。
この『14歳のための時間論』では、こんな疑問から章がはじまります。
これは第一章での話なのです。
なぜ時間は戻らないのか。
時間が戻らないのは、宇宙が膨張しているから。
本書を読み進めていくと、原子とか分子とは科学的なワードが出てきます。
時間がなぜ戻らないのか?
その問の答えを著者はこう考えます。
原子・分子の世界では特別な力がはたらかない限り、ものごとの変化は膨張する方向に進む。(P.84)
→ゆえに、”時間”の進む方向は膨張が決めているのではないか?
時間が、過去から未来にしか流れなくて逆戻りしないのは
「宇宙が膨張しているから」(P.84)
時間というものを、宇宙そのものの性質と著者は考えています。
だから、原子・分子の話につながるのです。
なんだか、面白いですよね!
この一冊からわかること
▲ポイント▲
- 時間を感じるという瞬間には、いつも何かを区切っているという動作がつく。
- 同じ時間であっても、その人によって時間経過の印象が異なる。
- 時間とは「私たち自身が生きている」という事実を通してつくり上げているもの。
サイエンス系の本って、物理学と絡むことが多いので数式とか出るんですよね。
だから余計難しく感じてしまって、興味があるけど手が出せなかった分野でもあります。
この本は中学生以上の読者を対象に書かれた本なので、内容もわかりやすい!!!
難しい数式も専門用語もないので、”物理学なんて知らないわ”という方でも読めます。
興味がある人はぜひ、一度読んでみることをオススメします!